では、今日のテーマは「口下手改善の物語」ということで、ある人物についてお話ししていきます。
で、この人物は僕ではなく、【僕の父親】です。
父親は昭和の生まれで、昭和の親父なんで、無口だった。本当に喋れないタイプですね。僕はそれに輪をかけて喋れなかったんであまり偉そうに言えないんですけど(苦笑)、父親がそうだった。
ただ、現在はそれなりに雑談をおもしろおかしく喋れるんで、「彼がどうやって口下手を改善していったのか?」っていうのを話したいと思います。あくまでぼくの子供の頃の記憶をたどってるんで、ざっくりした話にしかならないんですけども、大きな方針ってのは分かるかと思います。
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で、父親は、僕の子供の頃の記憶を辿っても、彼がまともに話してた記憶はないんですね。
いつも、家族の会話の中では【聞き役】だった。
で、ぼくの家族は母親と父親がいて、子供は3人。僕は長男で、妹は上の妹・下の妹と2人。母親が、何度も言ってますが、「マシンガントーカー」で、立て板に水のような感じで喋り続けるし、自由自在に喋る。上の妹も似たような感じでずっと喋り続けるんで、家族の会話となると、母親と上の妹が好き勝手に喋ってんのを父親と僕が完全に聞き役で聞いてる。下の妹は時々話すっていう中間的なポジションをとっていたんですね。
ただ、父親も社会経験があるんで、仕事で電話がかかってきて部下らしき人と喋ってる時にはかなり淀みなく喋ってた、と。仕事の話はできる。ま、ちょっと説教くさい内容だったんですけど(笑)、よく喋っていました、と。
ただ…僕が社会人になって、父親と2人で食事に行ったことがあるんですけど、その時の会話は弾まなかったなということで。自分が雑談の中心になって話すようなトーク力がその当時はなかった。
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彼がどうやって口下手を改善したかって言うと…
多分、【仕事上の経験】だと思います。
で、仕事の電話がかかってきた時の(父の)電話の受け答えを見てると、仕事内容の話ができるようになってたんで、社会経験を積めば仕事に関係する話は自動的にできるようになると思う。「全く喋れないよ」って人は、ちゃんと社会経験を積めばできるかなと思います。
彼が特殊だったのは…
彼は大企業に勤めていて、建設機械を作る会社でした。最初、入社した時は建設機械を作る設計部門に入ってたんですけど、何年かしてサービス部門、お客さんに対応するサービス部門に入って、対人スキルを求められる。それがけっこう効いている、と。で、特殊なのは、海外に赴任して、アメリカ人を相手にサービス部門でサービス業やることになったんで、それが特殊だった。で、しかも、アメリカに僕が小さい頃、5年間赴任して、僕も一緒に行ったんですけど…
彼の趣味が【マジック】だった。
だから、お客さん相手にパーティーで自分の趣味のマジックを披露するってのは何十回もやってて、お手の物というか…それでウケが良くて、それで出世したって言われていうぐらいマジックショーをやっていた(笑)なんで、その時にマジックは、マジックの出来栄えも重要なんですけど、それ以上にトークが重要。トークで場を盛り上げて、という経験あったので、
今、現在の喋り方は【エンタメ的な話し方】になるんです。
話しかけて、アメリカンジョーク的なユーモアを発動して笑いを取る。そういう発言する、と。(父親は)そんなに長く話せないんですけど、笑いが起きるし、うまいなと僕も感じるんですね。
という感じで、マジックショーで培ったトーク力で、長い話で話を組み立てるのはあんまり上手くないんだけど、そのエンタメ寄りの笑いを取るような話ができるようになって、それは定年迎えて引退した今でもそういう雑談ができるということです。
というわけでも、一例なんですけど、元々無口だったんだろうけど、【社会経験】を積んで、仕事上でマジックショーをやるという偏った経験ではあるんですが。プレゼントかと上司に報告するとか会議で発表するとか、そういう経験を積めば、5年10年すれば自然と口下手っての改善されるよということですね。
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僕は、ある時、「コミュ障の集まり」に参加したことがあるんです。
やっぱり、学生さんだと社会経験が足りてないんで、明らかに口下手だなってわかるんだけど、【社会人】の方はそれなりにしっかり喋れるし、受け答えもできる。堂々と話してくるんですね。「本当にコミュ障かな?」って疑問を持つぐらいのしっかりした口調で話せるトーク力が培われているので、社会人の方はそういう仕事上の話す機会を大事にして、ベースとなるトーク力を磨いていってください。
で、【学生】さんはそういう経験・機会に恵まれないとは思うんですけど、授業でプレゼンの機会もこの時代増えているんで、そこをしっかり頑張ると、ベースの口下手ってのが少しずつ改善していくし、社会人を2年もやればかなり改善するんで、そういう見通しで思っておく、と。楽観的に受け取っといた方がいいかなと思います。
ただし、仕事で喋るんで仕事の話だったらできるんですけど、一般的な日常会話とか雑談は違うので、そこら辺を【調整】する。
ベースの口下手を改善しつつ、雑談とかを自力でどうにかする。ただし、ベースができてるんで、やれないことはないかなという感じで、そういう見通しを持って人生プラン持っておくといいかもしれませんね。
僕も実際、研究の議論とか研究発表の機会でベースの口下手を直した結果、長い話しかできなかったんですけど(苦笑)。30代になってから、短い日常会話的な雑談を修正していった。
時間はかかるんですけど、そういう道筋がありますよ、というのが今日のお話でした。
参考にしてみてください。
では、以上になります。
ありがとうございました。